車両
2023.05.15更新
可動式ホーム柵対応化・ATO/TASC化改造関連の記述を追加しました。

10A系/2007.08.08-桃山台

10A系/2008.12.20-なかもず

概 要

 大阪市高速電気軌道(大阪市交通局)10A系車両は、2007(平成19)年4月17日より御堂筋線で営業を開始した車両で、大阪市で唯一チョッパ制御車である10系車両がVVVF化して登場した車両であり、10系車両とは別形式扱いとなっている。

10A系の顔

 10系の車内設備の老朽化が目立ってきたことから、登場から19年経った1998(平成10)年度よりリニューアル改造を実施。2004(平成16)年3月までに10系第05~18編成がリニューアル改造を終えていた。しかし、2004(平成16)年3月より開始された中央線20系の近鉄相直に伴う改造(ワンマン・高速化改造)により、10系のリニューアル改造は一時中断された。2006(平成18)年8月の20系のワンマン・高速化改造終了に伴い、2006(平成18)年7月より10系リニューアル改造が再開され、2006(平成18)年以降の10系リニューアル改造にはVVVF化改造のメニューが追加された。これはチョッパ制御装置の故障や部品が製造中止となっていたためである。このVVVF化改造は比較的新しい10系(量産後期車)を対象としており、既にリニューアル改造を行っていた10系第17・18編成も対象となった。

 VVVF化改造では、10系の6M4Tから10A系では5M5Tとなり、M車T車の配列変更や集電装置設置位置変更など大幅な改造が行われた。制御装置は先に更新した中央線20系のものをベースにし、一部機器は20系・新20系と同一のものとすることで保守の合理化を図っている。車両形式は電機子チョッパ制御の10系と区別するため、VVVFの10系は末尾に「A」が付けられている。ただし車番変更はなく、そのままで営業に付いているが、大阪市の車両番号付番の法則(0~5までの数字は電動車、6~9までの数字は付随車とする)は10A系では崩れることになった。

「ありがとう!10系」HMを掲出した第26編成

 初のVVVF化改造となったのは第23編成である。第23編成は、2006(平成18)年7月に運用を離脱、緑木検車場へ回送され、当時行っていたマルハンラッピング(マルハンⅠ)のまま2006(平成18)年7月下旬よりアルナ車両へ陸送された。2006(平成18)年11月にはアルナ車両の表に姿を現し、2006(平成18)年12月上旬に緑木検車場へ陸送され、定期検査などを行ったうえで走行試験などを四つ橋線内で行い、2007(平成19)年3月9日には中百舌鳥検車場へ回送された。その後、乗務員習熟運転や各種試験を実施、北急線内でも夜間の走行試験で各種の試験を行った。そして2007(平成19)年4月17日に営業復帰を果たした。

 10系・10A系を置換えるための31系投入が進み、2019(令和元)年11月の第18編成廃車を皮切りに、徐々に数を減らしていった。残り1編成のみとなっていた2022(令和4)年6月21日から7月4日までは引退記念の「ありがとう!10系」HMを掲出して運行(31系2編成にも掲出)した。告知されていたHM掲出最終日に緑木検車場へ廃車回送されて翌日付で廃車、10系・10A系はこれで姿を消した。

改造中の第23編成(正面白線はまだない)

改造中の第23編成(正面白線はまだない)

営業復帰に向けて試運転を行う第23編成

営業復帰に向けて試運転を行う第23編成

10系時代の第17編成と並ぶ第23編成

10系時代の第17編成と並ぶ第23編成

リニューアル改造後にVVVF化された第18編成

リニューアル改造後にVVVF化された第18編成

アルナ車両で改造中の第17編成

アルナ車両で改造中の第17編成

2本線は「Rebirth」の証

2本線は「Rebirth」の証

可動式ホーム柵と10A系

可動式ホーム柵と10A系

日立のVFI-HR-2415E

日立のVFI-HR-2415E

三菱のMAP-144-75V190

三菱のMAP-144-75V190

10A系側面帯

 車体側面帯については、全車とも10系としての登場時は旧帯であったが、2004(平成16)年度より開始したリニューアル・VVVF化改造にて新帯に変更されている。なお10A系の新帯は10系と同じで、先頭部が斜めに切りあがった独特なものとなっている。

改 造

前照灯LED化 【2015(平成27)~2016(平成28)年】

LED化された前照灯

 2015(平成27)年から、前照灯LED化が順次実施され、2016(平成28)年11月に全編成が完了した。色は白色ではなく、電球色となっている。

可動式ホーム柵対応化・ATO/TASC化改造 【2019(令和元)~2020(令和2)年】

可動式ホーム柵と10A系

 御堂筋線全駅への可動式ホーム柵設置に伴い、可動式ホーム柵に対応する改造を行うことになった。可動式ホーム柵対応機能追加や、定点停止支援装置としてATO/TASC機器の搭載が行われた。TASC車上子は1700形に設置されている。

方向幕

登場時

登場時

 10A系については、登場時より新規追加および削除は行われていない。

登場時

-廃車時-
1
2 梅田

UMEDA
3 新金岡

SHINKANAOKA
4 なかもず

NAKAMOZU
5 千里中央

SENRI-CHUO
6 あびこ

ABIKO
7 中津

NAKATSU
8 天王寺

TENNOJI
9 新大阪

SHIN-OSAKA
10 江坂

ESAKA
11
12
13 回送

OUT OF SERVICE
14 試運転

OUT OF SERVICE
15 臨時

EXTRA

主要諸元表

形式 1100A 1000A 1900A 1300A 1200A 1600A 1700A 1400A 1500A 1800A
車種 Tec1 Ma1 Mb1 Tbp Ma1' T' T Ma1 Mb2 Tec2
車体構造 アルミ アルミ アルミ アルミ アルミ アルミ アルミ アルミ アルミ アルミ
自重〔t〕 27.5 34.5 34.5 29.5 34.5 27.5 24.0 34.5 34.5 27.5
定員(座席定員)〔人〕 130(39) 140(45) 140(45) 140(45) 140(45) 140(45) 140(45) 140(45) 140(45) 130(39)
車体長〔mm〕 18,900 18,700 18,700 18,700 18,700 18,700 18,700 18,700 18,700 18,900
車体幅〔mm〕 2,890 2,880 2,880 2,880 2,880 2,880 2,880 2,880 2,880 2,890
車体高〔mm〕 3,745 3,745 3,745 3,745 3,745 3,745 3,745 3,745 3,745 3,745
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制御装置
VFI-HR-2415E <日立>

18・23・25

MAP-144-75V190 <三菱>

17・19~22・24・26
主電動機

●:HS-34533-04RB

  140kw 4個/両
駆動方式

●:WN駆動

  歯車比 103:14
連結装置

●:緑木型密着

○:半永久
電動発電機

●:TDK3346-A-M
空気圧縮機

●:C-2000L
集電装置

▼:TC-14A

  第三軌条上面接触式
制動装置 OEC-3M 電気指令式電磁直通空気ブレーキ

(回生ブレーキ・保安ブレーキ・応荷重装置付)
台車形式 DS-10(FS-386A)
最高速度 OM線内:70km/h 北急線内:70km/h
加速度 OM線内:3.0km/h/s 北急線内:3.0km/h/s
減速度 3.5km/h/s(常用最大) 4.5km/h/s(非常)
集電方式 / 電圧 第三軌条集電方式 / 直流750V
走行路線 大阪市高速電気軌道御堂筋線(江坂~中百舌鳥)

北大阪急行電鉄南北線(千里中央~江坂)
最終配置 中百舌鳥検車場

車両履歴表

※( )内は竣工日から除く

編成表

〔←千里中央 中百舌鳥→〕

竣工日 製造所 10両編成化

による増結用
リニューアル

改 造
VVVF化

改 造
連結面間転落

防止装置設置
車体洗浄 可動式ホーム柵対応化

ATO/TASC化改造
前照灯

LED化
廃 車
竣工日 車番変更 出場日 改造所 出場日 改造所 竣工日 改造所
1117-1017-1917-1317-1217=1617-(1717)-1417-1517-1817 1986.09.13 東急 1996.09.05 1803→1717 2004.03.23 川重 2008.06.20 アルナ 2000.02.08 2016.01 2020.07.01
1118-1018-1918-1318-1218=1618-(1718)-1418-1518-1818 1986.09.24 東急 1996.06.12 1302→1718 2003.11.26 川重 2008.03.04 アルナ 1999.11.30 2015.07 2019.11.19
1119-1019-1919-1319-1219=1619-(1719)-1419-1519-1819 1987.03.18 近車 1996.08.12 1303→1719 VVVF化改造と同時 2009.10.08 近車 2000.02.08 2016.01 2019.09.-- 緑木 2021.07.01
1120-1020-1920-1320-1220=1620-(1720)-1420-1520-1820 1987.03.18 近車 1996.05.30 1502→1720 VVVF化改造と同時 2009.05.14 アルナ 1999.11.30 2019.08.26 緑木 2021.03.30
1121-1021-1921-1321-1221=1621-(1721)-1421-1521-1821 1987.03.18 川重 1996.07.31 1503→1721 VVVF化改造と同時 2010.10.20 アルナ 2000.01.19 2020.01.10 緑木 2021.12.09
1122-1022-1922-1322-1222=1622-(1722)-1422-1522-1822 1987.07.06 川重 1996.06.05 1602→1722 VVVF化改造と同時 2010.03.25 アルナ 1999.12.08 2016.02 2019.12.06 緑木 2021.10.18
1123-1023-1923-1323-1223=1623-(1723)-1423-1523-1823 1988.06.24 近車 1996.08.06 1603→1723 VVVF化改造と同時 2007.03.09 アルナ 2000.10.31 2015.05 2020.03.08 緑木 2022.01.05
1124-1024-1924-1324-1224=1624-(1724)-1424-1524-1824 1988.07.09 近車 1995.12.26 1901→1724 VVVF化改造と同時 2011.04.18 近車 1999.09.19 2020.04.30 緑木 2022.04.25
1125-1025-1925-1325-1225=1625-(1725)-1425-1525-1825 1989.06.05 アルナ 1996.06.14 1902→1725 VVVF化改造と同時 2007.10.15 近車 1999.08.24 2020.06.03 緑木 2022.05.27
1126-1026-1926-1326-1226=1626-(1726)-1426-1526-1826 1989.06.23 アルナ 1996.08.14 1903→1726 VVVF化改造と同時 2008.12.01 アルナ 1999.07.12 2019.07.19 緑木 2022.07.05